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2019.5.25

自由な環境でこそグローバル社会で活躍するチャレンジャーが育つ
神戸国際中学校・高等学校(兵庫県 女子校)

神戸国際中学校・高等学校は、創設以来グローバル社会の到来を予見した先進的な取り組みで、塾関係者から評価されてきた。ここにきて、時代の変化がようやく同校に追いつき、その教育内容が受験生に注目されている。同校が推進するグローバル教育について、校長の澤田陽一先生にお話を聞いた。

人は自由があってこそ自立できる

神戸国際は、29年も前に現在のグローバル社会を予見して、国際的に活躍できる人材育成を目指して設立された。当時「国際化」という言葉こそあちこちで聞かれたものの、一体どうすれば「国際化」に対応した教育が実現するのか、ビジョンを示し実行することは容易ではなかった。その中で新しい教育のビジョンを打ち立ててきたのが同校だ。

「それまでの画一的な教育では、国際社会で活躍できる女性を育てるのは難しいだろうと考えて『これからの教育』を形にしたのが、本校のスタートだと考えます。」

同校は、1クラス20人程度の少人数制。式典用の制ブレザーがあるだけで、普段は服装自由、TPOを踏まえて各自で判断する。また、授業の開始・終了のチャイムも鳴らない。他者に律されるのではなく、自発的に行動するためだ。

「自由でなければ、自分で自分を律する自立心や自ら行動する自主性は育ちません。それに加えて、少人数なので、授業でも行事でも生徒一人ひとりの出番が多く、他人任せにできない環境です。もちろん女子しかいないため、男子に頼ることもできません。」

設立時から少人数を想定されて設計された正方形に近い教室は、生徒と教師の距離を縮める。一番後ろの席でも4列目だ。この教室は、生徒を主役にした双方向的な授業やグループ学習の取り組みにも適している。今日のようにアクティブラーニングが謳われる前から、探究型学習など、生徒主体の学びに取り組んできた。

 

テクニックを超えたグローバル時代の教養を磨く

「本校が目指す教育は『学力・語学力・人間力』の3つの力を育む中で、21世紀型スキルの獲得を目指しています。学力だけではこれからの時代、通用しません。英語をツールとして使いこなし、グローバル社会の中で他者と協力して、新しい価値を作り出すことが求められています。」

中学3年での3週間のニュージーランド研修は、一家庭一人のホームステイだ。クラスメイトに頼ることができない環境の中、英語力も人間力も大きく鍛えられる。高校2年では、オーストラリアあるいはシンガポールで、現地の高校や大学を見学する。他にも希望者には、カナダ、フランス、イギリスなど数多くの海外研修が用意されている。(ここ3年間は国際情勢への配慮からカナダでの実施となっている)

「外国語の受験テクニックだけを磨くことは目指しません。言葉や文化が異なる環境で、自分の思いを伝えようと努力したり、言語や文化のバックグラウンドが異なる友人と出会ったりすることが、人間としての成長につながるのです。これからのグローバル社会で必須の感覚であるダイバーシティ(多様性)を身につけるために、卒業までに最低2ヶ国を見聞することを勧めています。」

学校を挙げて海外留学を推進するため、3ヶ月以上の海外留学には、留学期間の授業料を免除する特別奨学金制度がある。語学の外部検定にも積極的に取り組んでいて、高校3年で英検1級を取得した生徒もいる。校外スピーチコンテストの実績も華々しい。ネイティブ教員は、在校生225人に対して6人。昼休みに一緒にランチをとりながら、気軽に英会話を練習するイングリッシュカフェも実施している。

「トビタテ留学Japanには5年間のうちの4年、本校から代表が選ばれました。今年は海外の大学への進学実績も出たので、今後、さらにこの方面も充実させていきます。」

 

自ら決めた目標だから努力できる

自由で自立した環境の中で、生徒は自分の進路を自然に見出していく。普段の授業や行事で培われる自立・自主性をベースに、留学先で刺激を受けることで、将来の目標がしっかりと決まる。

「目標が決まれば、生徒たちは自ら勉強に取り組みはじめます。教師に言われてする受験勉強ではないので、学力はぐんぐん伸びていきます。説明会などで、本校から東京大学や京都大学に進学することを不思議に思う方から質問を受けますが、答えるのが難しい。生徒たちは自らの興味に従って学びを突き詰めて、自主的にそのレベルまで到達します。私たちは自由に学べる環境を整えているだけなのです。」

「国際」という校名からは意外なことだが、実は4割程度が理系を選択する。医歯薬系を目指す生徒も少なくないという。海外留学を単に語学力を伸ばす場だと捉えず、人間力を育む機会だと考える同校の姿勢がここでも現れている。少人数クラスで取り組む探究的な学びも、多様な進路へ向かわせる一因だ。

「社会に求められる力は大きく変わりつつあります。保護者のみなさんには、かつて受けた教育をもとに判断するのではなく、今後の社会を見据えて、どのように育っていくのが良いのか今一度考えてみてください。価値観を押し付けるのではなく、その気にさせることが重要です。そして、子供がやりたいと思ったことは、失敗を恐れてストップさせるのではなく、背中を押してあげてほしいと思います。」

 

進学館

 

神戸国際中学校・高等学校
http://www.kis.ed.jp
神戸市須磨区高倉台7-21-1
TEL 078-731-4665


KIS 授業体験会(小学生対象)
6月1日(土)10:30〜12:00(受付10:00)
同時間、保護者(希望者)には教育講演会実施>
※申込は同校ホームページより

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