MIRAI NO MANABI ミライノマナビ

大改革時代に向けて

2022.2.25

自ら興味を持って学び グローバルにもローカルにも活躍できるリーダーに
親和中学校・親和女子高等学校 校長 中村晶平 先生

中村晶平 先生
親和中学校・親和女子高等学校 校長
2021年より現職。「多様性」をキーワードに、生徒一人ひとりの個性を見据えて、学力だけでなくプラスアルファの力を引き出す教育を目指す。

親和中学校・親和女子高等学校
https://www.kobe-shinwa.ed.jp/
〒657-0022 神戸市灘区土山町6-1 TEL 078-854-3800

 

多様化の時代に親和にできること

 現代は多様化の時代です。これからの進学校に求められるのは高い学力の養成だけではなく、色々な経験を積み、多様な価値観に触れること。それに応えるために、親和には何ができるのかを日々考えています。

 生徒に「本を読みなさい。実践しなさい」と言うだけでは心に響きません。五感を通して世界を感じ取り、世界中の色々な人の価値観を実際に知る機会をたくさん持つことで、多様性を学ぶきっかけになります。

 本校では、世界と触れ合う機会を大切にしていて、中3でのニュージーランド海外ホームステイやメルボルン交換ホームステイ、高2でのオックスフォード英語・文化研修やシンガポール・マレーシアへの海外研修旅行、高1・2でのカナダ・フィールドストーン・キングス・カレッジ長期留学など多数の海外研修プログラムを用意しています。

 

コロナ禍でもできる異文化体験

 中1~高1で実施している異文化探究研修では、例年、中国やベトナム、カンボジアなどアジアの国々の学校を訪れ、各自が設定したテーマに沿って現地で調べ学習を行っています。2021年はコロナ禍で海外へは行けませんでしたが、大阪にある宿泊型英語研修施設「YOLO JAPAN」でイングリッシュキャンプを実施しました。泊まり込みでネイティブ講師とオールイングリッシュで過ごします。英語イマージョンな環境でゲームをしたり、ダンスを楽しんだりしました。また「アメリカで腹痛になった時にドラッグストアでどう説明する」「CAになってお客さんと話す」「ホテルのフロントでの手続き」など場面を設定した実践的な英会話にも挑戦しました。

 

探究学習をさらに推進

 2022年度から高校も新しい学習指導要領になります。これまでのように知識・技能だけで通用する時代ではなくなりました。表現力や思考力、学ぶ意欲までもが問われるようになってきます。

 特に「総合的な探究の時間」がポイントになります。生徒が自ら課題を見つけて、調べて議論して発表する、こういう学力は大学や社会に出てから重要になる力だからです。

 本校でも探究型の学びをこれまでよりも一層深めるために、探究推進部という専門の部署を設置して、探究を軸に横断的に教科の間を取り持てる教員を配置します。

探究発表会

 さらに、科学分野の探究学習として「サイエンスツアー」の導入を考えています。アメリカ西海岸を中心に、現地のトップ企業を見学し、アメリカの大学で本格的なSTEAM教育を体験する取り組みです。これを起点に、将来的には文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校を目指します。生徒にもその意気込みで学んで欲しいと思っています。

 近年、大学の求める受験生像も探究型の人物になってきていると感じます。探究型の学びは成績の伸びと相関があることもわかってきました。

 

ラーニングコモンズ・イングリッシュルーム

 2019年に完成したラーニングコモンズは、親和女子大学の協力のもと設計された大学レベルの施設です。従来型の資料映像をただ見るだけの授業を超えて、生徒が自ら参加して、グループで話し合ったり、発表したりする授業が今まで以上にできるようになりました。※1

 これからの時代「自分の言葉で表現する力」が一層求められるようになります。YesかNoか、理解しているかいないかを答えるだけではなく「こういう理由で、こう思う」と多くの人を納得させる力、自分の考えを理解してもらう力が不可欠になっています。

 2021年夏には新たにイングリッシュルームを設置しました。お昼休みと放課後に2人のALTが常駐し、部屋の中では英語しか使ってはいけないルールです。本格的にスピーキングを学びたい生徒から、ちょっと会話を楽しみたい生徒まで、自由に使うことができる開放的な雰囲気の部屋です。

 授業時間には、帰国子女など、英語のレベルが突出している生徒のために、この教室を使ってハイレベルな授業を展開しています。

明るい雰囲気で会話が弾むイングリッシュルーム

※1 ミライノマナビ「新たな学びの可能性を開く空間――ラーニングコモンズ」

 

ついていくのではなく先頭を走るリーダーに

 グローバル化が進む時代に、忘れてはいけないのは地元(ローカル)のことです。本校はグローバル教育に力を入れていますが、生徒には、グローバルな視野の広さを持ちつつ、ローカルでも活躍できるリーダーに育ってもらいたいと考えています。

 多様な経験ができる親和で、多様なバックグランドを持つ仲間とお互いに刺激を与え合い、単なる育ちの良いお嬢さんではなく、地元の方々から頼られるような優しく凛々しく逞しい女性を育てていきます。

 先日「リビングライブラリー」※2の手法を使って、政治・医療・救助活動・ボランティア・芸術など様々な立場から防災活動に携わる人たちのオンライン講演会を開催しました。中学1年生の生徒自身が企画から交渉まで行なったのですが、少し前まで小学生だったとは思えない行動力を見せてくれて、とても頼もしく感じました。

自ら積極的に行動する姿は、本校教育が目指しているところです。変化が急激な時代に、誰かについていくのではなく、自ら先頭を走るようなリーダーになってもらいたいと思います。

※2 デンマークで始まった試み。多様な背景を持つ人を「本」に見立てて、読み手が語り部である「本」と対話する。

 

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