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2025.1.31

楽しむ心を持って主体的に学ぶ——凛花フィールドワーク発表会
大谷中学校(大阪府・女子校)

昨年12月25日、大谷中学校で凛花コースのフィールドワーク発表会が行われた。「大阪の食・言葉・暮らし」をテーマとした探究学習で、身近なテーマを使うことで、調べて、まとめて、発表する学習の優れた入門編となっている。実際の発表会を取材し、その後に生徒と凛花コースリーダー・溝将之先生、入試広報部長・東良健太郎先生にインタビューを行った。

 

グローバルの第一歩は自分たちの街から

 発表会は、第一部が中1・2、第二部が中3によるもの。中1・2は探究学習の入門編として「大阪の食・言葉・暮らし」をテーマとしたプレゼンテーションだ。具体的には、地元の老舗線香屋での作業体験のレポートや、関西弁・河内弁・泉州弁のそれぞれの違いを調べたもの、河内音頭の歴史や踊り方、ボンカレーの発明の歴史などをそれぞれのチームが発表した。

「本校・凛花コースは『グローバルマインドを持った新時代の女性』の育成を目指しています。その第一歩として、自分たちが住んでいる大阪についてきちんと話せるように、という思いでこの取り組みを始めました。海外からの留学生が来た時には、凛花コースの生徒たちが、この学びの成果をもとに大阪の街を案内します。」

 東良先生が取り組みの意義を説明してくれた。探究学習の発表というと、堅苦しいイメージがあるかもしれない。だが、当日の発表では、生徒たちは会場を巻き込むようなクイズ形式などの工夫を凝らしたり、機器のトラブルが起きて先生の「待ってあげて下さい」のアナウンスに、聴く側の生徒が声を揃えて「もちろん!」とエールを送ったりするなど、発表する生徒も、聴く生徒も主体的に参加して盛り上げていた。フィールドワーク中に試食をしたというレポートには「いいなあ」と歓声が上がり、聴く側もこの取り組みを楽しんでいることがうかがえる。

 

一番大事な持ち物は「楽しむ心」

——うちらが楽しませるので、一緒に行こう

——持ち物で一番大事なのは「フィールドワークを楽しむ心」

 下級生への呼びかけや気の利いたコピーのような発表をするのは中3のチーム。中3生は、自分たちが企画した凛花dayの遠足プランを下級生に向けてプレゼンテーションする。下級生はこのプレゼンを見て、どのツアーに参加したいかの希望を出すことになる。ただの発表ではなく「楽しませる側」として、学びの内容やツアーで入手できるお土産の魅力を伝える必要がある。

 

生徒インタビュー

 3年間、この取り組みを体験した高校1年生2人(北口さん、浜崎さん)と凛花コースリーダーの溝先生にインタビューする機会を得た。まずは、生徒たちに中1の頃から慣れていくまでの経緯を聞くと

 

終始、真剣に、にこやかにインタビューにこたえてくれました

「中1の時は、はじめてのプレゼンで、どうやって作っていくのかもわからない状態でした。そんな中で先生方と相談しながら作っていきます。どうすれば聞き手が興味を持ってくれるのか、といったプレゼンの基本を中1から教えてもらえるのは凛花コースの良いところだと思いました。」(北口さん)

「中2になると、少しずつiPadやプレゼンアプリの使い方、調べ学習も上達して、1年生にアドバイスができるようになりました。1年生に助けてもらうこともありました。チームで助け合う関係を築くことができたと思います。」(浜崎さん)

 1年、2年と着実に成長した様子がわかる。3年間で身についた力についてたずねると

「グループで話し合う時に、思いついたことは何でも話そう、という姿勢が身につきました。アイデアがたくさん出過ぎて、逆に困ることもあったほどです。」(北口さん)

「コミュニケーション力、発表する力がついたと感じています。入学した頃は、人前で話すのが得意ではなかったのですが、上級生になると、外部に電話して予約したり、交渉したりという経験もします。身振り手振りも交えて、堂々と発表ができるようになりました。」(浜崎さん)

溝先生と笑顔で会談

 

先生を使うぐらいの気持ちで

 表現力は、現在の指導要領で学力の柱として重視されている。中高の成績に関係するだけではなく、大学でも、社会に出ても必要となる力だ。溝先生が話す。

「凛花コースの一期生は現在、大学4年生です。大学のゼミなどで、周りの学生がプレゼンが上手くできず、本校卒業生が頼りにされる話をよく聞きます。また、奨学金の審査、留学の審査、推薦入試でのグループワークでも、身につけた表現力が役立ちます。」

 北口さんは、中2の時に「クエストカップ2023全国大会」にチームで出場し、脚本賞を受賞している。生きた学びが実を結ぶ同校。溝先生はその手法についてこう話す。

「私たちは、入学した生徒たちの背中を押しただけです。そこからは生徒自身が自分で学びを広げていきます。」

 生徒の自主性を信じて任せることで生徒は伸びていく。自分がやりたいと思って取り組む学びは、受け身の勉強と比べて何倍もの効果がある。北口さんの言葉がそれを表していた。

「凛花コースの良いところは、自由な学びです。先生方に言われたからではなく、自分が学びたいから先生方を使わせてもらうぐらいの気持ちでいます。」

 

進学館

 

大谷中学校・高等学校
https://www.osk-ohtani.ed.jp/
大阪市阿倍野区共立通2-8-4 TEL 06-6661-0385(中学校)

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