
今年6月竣工の新校舎
大学入試改革や新指導要領で日本の教育は大きな転換点にある。その一つの目玉は従来型の知識を覚えるだけの学習からの脱却だ。それに伴って、中高でも従来とは異なる方法での入試が模索されている。今回紹介するのは、2026年度入試から新設される滝川中学校のTakigawa特色入試。入試広報部長の秋山良秀先生にお話を伺った。
2026年度新入試はグループワーク型
「本校ではこれまでも一般入試とは異なる選抜方式として、ミライ探究型入試を実施してきました。ただ『ミライ探究一貫コース』のみの実施であったので、男子受験生しか受験することができませんでした。そこで、ミライ探究型入試を変更・拡大する形で、全てのコースで受験できるようにします。それにより、女子受験生もこの選抜方式を選ぶことができます。」
来年度より新設されるTakigawa特色入試(以下、特色入試)の導入の経緯について、秋山先生がこう話す。入試科目は、国語・算数(各100点)に、3~5人でのグループワークを点数化して判定する科目が加わる。全てのコースの受験者が同じグループワークに取り組むが、コースによって合格点は異なってくる。出願時に志望コースを申請し、いわゆる「回し合格」はない。男女でコース数が違うため、回し合格があると公平にならないからだ。
「従来のミライ探究型入試では、要約する力や自分の意見をきちんと表現する力を見てきました。その結果、これらの力は、国語・算数の成績と正の相関があることもわかりました。特色入試ではさらに踏み込んで、リーダーシップ、知識・技能・発想力・思考力・表現力・判断力などを複数の採点者でルーブリック評価します。」
コミュニケーション力と多様性
グループはランダムに決められる。そのため、国語・算数の学力が突出しているグループが編成されることやその逆もあり得る。しかし、グループワークの採点対象は与えられた課題に対しての成果だけではない。グループで協働する際の姿勢、仲間と協力できるか、他者を認められるか、といった過程の部分において、社会生活を営む上での「当たり前」のことも重要な評価のポイントになる。
「グループワークでの成果の優劣を競うわけではありません。45分の試験時間の間に、どうやってグループを作っていくのか、リーダーをどうやって決めるのか、自分の意見をどのように主張し、人の意見をきちんと尊重できているのか、そういったお互いのコミュニケーション力、多様な意見を受け入れる力などをしっかり見たいと考えています。」
滝川中学校が求める生徒像
秋山先生に「どのような生徒に来てもらいたいのか?」とたずねると、次のような答えが返ってきた。
「積極的にいろいろなことに挑戦し、自分の得意を持っている人に来てもらいたいと考えています。それに加えて、本校Webサイトでは、各コースのアドミッションポリシー(求める生徒像)を公開しています。ぜひ見てください。」
各コースのアドミッションポリシーは以下の通りだ。
【医進選抜コース】
生命に対しての強い使命感と倫理観を備えた医療従事者の道へ進む生徒
【Science Global 一貫コース】
国際社会で活躍できる新時代を切り開くリーダーを目指す生徒
【ミライ探究一貫コース】
探究型の深い学びでミライを創造していくことができる生徒
(同校Webサイト掲載の資料より抜粋)
普段から疑問を持つ
「6月21日のオープンスクールでは、体験授業として『探究』も実施します。この授業で、グループワークの感覚をつかんでもらえると思います。ただ、1日で突然できるようになるものではないので、普段から、様々なことに積極的に取り組み、疑問を持つことが大切です。なお、特色入試における算数・国語は一般入試と同じ問題です。これまで通りの勉強もしっかりしてきてください。」
共学化して2年が経ち、誰に対してもしっかりと自分の意見を言う、存在感のある優秀な女子生徒が多く入ってきているという。今年6月にはページトップにある新校舎が完成して、ますます優れた教育環境が整う滝川中学校。今後の展開にも注目したい。
