開明中学校・高等学校には、卒業生が中心となって、在校生に大学での学びの実際を伝える「開明大学」という取り組みがある。卒業生が企画・運営する開明独自の名物行事でもあり、同校の進学実績の伸びに寄与してきた重要な行事でもある。この行事について入試広報部長・古庄誠先生にお話をうかがった。
>>> 卒業生の発案でスタートして毎年開催へ <<<
「始まりは、十数年ほど前に卒業生が『やりたい』と言ってきたことがきっかけでした。彼らが大学に進学してから知った学部の実際を、後輩たちにもっと早い段階で伝えて、進路選択をより有意義にしてもらいたいという思いからです。」
古庄先生が「開明大学」の始まりを教えてくれた。以来、毎年8月末に、今から進路を考えようという高校1年生を対象に開催している。特筆すべきは、すべて卒業生が企画・運営しているという点だ。
「大学も異なり、学年も異なる卒業生たちが、毎年40人~50人ほど本校に集まってくれます。まとめ役の卒業生も代替わりをしながら、途絶えることなく続いています。今年は14の講座が開講されました。講義の内容は卒業生が自分たちで考えて作っています。」
>>> 「開明大学」の1日 <<<
「開明大学」の1日の流れを紹介しよう。登校後、まずは開会式。卒業生代表のあいさつと説明を聞く。そして、それぞれの目当ての講座へとわかれていく。午前中は、60分の講座×2コマ。希望制だが、人気の講座は定員オーバーで受講できないこともある。
「卒業生は3~4人で一つの講座を担当します。一方的な講義ばかりではなく、一緒に考えたり、ワークショップに取り組んだりすることもあります。普段の授業と違い、年齢の近い先輩が話してくれるので、生徒も気兼ねのない雰囲気で質問もしやすいようです。」

学部のことを知る「開明大学」の講義
昼休みを挟んで、午後には少人数での「対話会」が始まる。午前の講義が学部での学びの中身についてであるのに対して、対話会では、大学での生活や、どのように受験勉強に取り組んだのか、といった、より身近なテーマを扱う。8つのテーマから4つを選んで、それぞれ10分~15分ほど、輪になって座り対話する。
「午前が『将来どのようなことをするのか』、午後は『今どうすればいいのか』という内容で、多くの生徒にとって、少なくともどちらかは印象に残るようです。午前の講座で、学部のことがわかってよかったという生徒もいれば、午後の対話会で、受験勉強で今何をすればいいのか、どうやって志望大学を決めればいいのかがわかってよかったという生徒もいます。」

車座になり先輩と話す対話会
>>> 「たいへんだと聞いてやる気が出た」 <<<
参加した生徒の感想には「経済学部と経営学部の違いがわかった」「同じ建物を扱う学問でも建築学科と土木学科では扱いが違う」といった学部に関する発見から、医療系学部の勉強量の膨大さを知って「甘くはないと思った」と気を引き締めるもの、「たいへんだと聞いて返ってやる気が出た」という頼もしいものまである。
「ありがたいのは、日頃教員が言ってもなかなか実感を持ってもらえないことでも、身近な先輩に言われると実感がわくところです。『自分の人生なのだから、適当に決めずに真剣に考えなければいけないと思った』という生徒の感想もありました。中高6年間の4年目というのは、モチベーションの維持が難しい時期ですが、この行事のおかげで、もう一度意欲を高めてくれています。」
>>> 実績を支える頼れる行事 <<<
生徒の感想も素晴らしいが、それ以上に感心させられるのは卒業生有志の行動力だ。誰に頼まれるわけでもなく、純粋に後輩たちのために母校に集まり講義をする。その行事を毎年、何十人もの規模で維持し続ける。そこには、同校の生徒同士の強いつながりがある。
「自分たちが先輩にしてもらって参考になったことを、自分たちも後輩にしてあげたいとの思いもあるでしょう。また、本校の多彩な行事を体験したことで、仲間と何かに取り組むことの楽しさを知っています。在校生も探究学習を通して『準備して発表するたいへんさ』を知っているので、先輩たちが伝えようとしている思いを真剣に受け取っています。本校の進学実績を支えている頼れる行事です。」
母校のことをよく知っていて、つい先日まで進路について考え、悩んでいた卒業生が、生徒の進路選択の手助けしてくれる。「開明大学」が開催される土壌こそが、優れた進学実績そのものに勝る同校の魅力ではないだろうか。
【授業見学会】
10月:4日(土)18日(土)
11月:8日(土)15日(土)22日(土)
12月:13日(土)
2026年1月:24日(土)31日(土)
※時間は日程ごとに異なる
【入試説明会】
第2回:10月4日(土)
第3回:10月25日(土)
第4回:11月15日(土)
※いずれも14時集合、15時30分終了。
※校内見学、部活動見学、個別相談も可。
上記申し込みはいずれも同校Webサイトより