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2018.9.17

SDGs——2030年に理想の地球を目指す17のゴール

「SDGs」あるいは「グローバル・ゴールズ」と呼ばれる国際連合が掲げる17の目標があります。この地球に住むすべての人が目指すべきゴールとされています。2030年によりよい世界を残せるように、子供たちと一緒に地球の未来を考えてみましょう。

 

人新世(アントロポセン)

2015年、国際連合の193の加盟国は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を全会一致で採択した。このアジェンダは17の大きな目標と、その目標を実現するための具体的な169個のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGsまたはグローバルゴールズ)」を掲げている。

その15年前、2000年に国際連合が掲げた「ミレニアム開発目標」は、主に開発途上国を対象にしたものだった。世界の多くの問題は南北問題が根底にあり、先進国はあくまで援助する側という発想が反映されたものだ。しかし、今回掲げられたSDGsは先進国も含めた地球全体の「持続可能性」に焦点を当てている。

「人新世(アントロポセン)」という言葉をご存知だろうか。1995年にノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェン博士が提唱した地質年代の新しい分類のことで、人類の活動が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼし地質学的な痕跡を残している、という考え方だ。

実際、人類は産業革命以降、大量の化石燃料を燃やして大気の組成を変え、ダムや街を作るために地表を削ってきた。また、人類は生存できる個体数の上限を40倍も超えていると言われるほど繁栄した。人類の滅亡後、人新世の地層を掘り出した未来の古生物学者は、私たちをどのような存在だったと評するだろうか。

問題は地球環境だけにとどまらない。経済的には、現代の資本主義社会は、世界大戦と冷戦期の例外的な期間を除き、過去200年間格差を拡大し続けているし、政治的には、高度化した情報技術が権力と結びついて監視社会へと陥るリスクを常に抱えている。

多くの面で、私たちの社会は持続不可能な袋小路に入り込んでいる。もちろんこのまま文明が崩壊しても人類が滅亡するとは限らない。文明崩壊後も人々が生き続けたイースター島のように。ただ、その過程で多くの人々が厳しい状況に置かれることは想像に難くない。

 

持続可能な発展のために

「SDGs」は、世界の破局を避けつつ、すべての人類が豊かになるための具体的な目標から成る。そのためのキーワードが「持続可能性」。持続可能な資源・エネルギー・食糧の利用・再生産は喫緊の課題とされている。「持続可能な開発」のためのターゲットには、例えば次のようなものが掲げられている。

 

6.4 2030年までに、全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。

7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。

9.4 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。

 

だれ一人取り残さない

いくら地球の資源・エネルギーが「すぐになくならない」という意味で持続可能となっても、現在の分配をそのままにしておいて、世界人口が急増すれば、貧富の差はさらに拡大してしまうだろう。そのためSDGsは「だれ一人取り残さない(No one left behind)」という理念を示している。この考え方はターゲットの随所に書き込まれた「あらゆる」や「すべての」という文言に見ることができる。これは、SDGsを作り、採択した人たちの強い意志の表れでもある。例えば17の目標の1つ目は

 

目標1 あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困を終わらせる

 

「あらゆる形態の貧困」という表現から、貧困は開発途上国の問題であるだけでなく、先進諸国においても格差の拡大などによる「相対的貧困」※1の問題が残されていることを示している。

SDGsは開発途上国だけではなく、先進国にとっての目標でもある。さらに、それは先進「国」だけの課題ではない。この地球上に住む一人ひとりのゴールでもある。

確かに、目標によっては個人にできることが少ないものもある。しかし、SDGsには個人が貢献できること、あるいは、地球上のみんなが協力しなくては実現しない目標もある。例えば、次のターゲットなどがそうだ。

 

12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。

 

12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

 

「だれ一人取り残さない」ということは「だれもが当事者である」ということと表裏一体なのだ。小売・消費レベルでの食品ロスは個人個人が意識しなければ減少は難しい。みんなが「未来の自分たちのため」という当事者意識を持って、余った食品の上手な保存方法や使い切り方、計画的な食品の購入などに普段から興味を持って取り組む必要がある。

SDGsのターゲットの多くには「2030年までに」という期限が設けられている。今から12年後、現在10代の子供たちの多くは社会人となっているだろう。子供たちに手遅れになった地球を残さないように、少しずつでもできることを意識して取り組んでいきたい。

 

※1 相対的貧困:1日1.25ドル未満で生活する「絶対的貧困」に対して、ある国の中で所得が中央値の半分に満たない場合「相対的貧困」とされる。

参考文献:『SDGsの基礎』 事業構想研究所・白田範史 事業構想大学院大学出版部

国連開発計画「持続可能な開発目標」へのリンク

 

ミライノマナビ編集部

ミライノマナビ編集部

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