デジタル教科書のメリット
2020年度より小学校高学年で外国語が教科となり、英語は、国語や算数と同様に、文部科学省検定済み教科書を使用して教えられています。学校教育においてもICTの特性・強みを生かすことや「主体的・対話的で深い学び(新学習指導要領)」の視点からの授業改善などから、教育課程の一部で、紙の教科書に代えて学習者用デジタル教科書が使用できることになりました。※
※ 文部科学省2018:4「平成 30 年 12 月学習者用デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン」
外国語教育において、デジタル教科書を活用するメリットは、以下にまとめられます。
1 教科書の紙面に関連付けて動画や映像を活用して児童がその場にいるかのような雰囲気を作り出し、学習への興味・関心が高まり、意欲につながっていきます。例:インタビューごっこや買い物ごっこ等、疑似体験をすること
2 外国語のネイティブ・スピーカー等が話す音声に触れることで、日本語と英語の音声の違いに気付かせることができ、また、教科書の本文に合わせることで、読むこと・話すことの練習もできます。
3 教室にある「黒板」に代わって、デジタル教科書(指導者用)は、「電子黒板」として、教科書の補助教材として使用することができます。
実際のデジタル教科書を体験
では、実際に「体験版」を見てみましょう。
小学校で使用されている「デジタル教科書」は、教科書の内容を大きく映し出し、「映像」をクリックすると、コミュニケーションの場面や話の内容に関連した場面が出てきます。
例えば、左上にあるAをクリックすると、新しいALTの先生を迎える教室で、ALTの先生が自己紹介をする場面になります。また、ALTの先生が、America出身であると話す時に、映像がAmerica の景色に切り替わる等、音声と映像を使って子ども達の理解を深めます。
また、英語の歌や会話で使用する表現をチャンツのリズムで繰り返して練習するために、再生スピードを学習の速度に合わせて「ゆっくり」「ふつう」「はやい」を選んで「聞いて、発話する」練習ができます。
ここでは、英語と日本語の違いに気づいたり、ネイティブの音声を真似て「英語らしく」発話することができるように、「口の形」をしっかり見て練習できる機能もあります。
画面の右端には、教科書として使うためのツールが並んでいます。「ペン」「消しゴム」の機能があり、黒板のように使うこともできます。
児童の日常生活で使う英語の表現がアニメーション仕立てのストーリーとなっています。児童は、映像と文字を見ながら音声を聞いて、話の内容を理解することができます。
また、World Tour は、実際に児童と同じ世界の小学生が英語で自分のできることについて話をしています。英語が母語である国と、外国語である国の子ども達が日本の子ども達に向けて話かけている姿を通して、自分と同じ小学生が英語を学習していることや、その国の言語がわからなくても英語でコミュニケーションを図れること、すなわち英語が国際共通語としての役割を果たしていることを認識できると思います。
なお、教科書には「この映像を見て気づいたことや、友達ができることやできないことを聞いて、どんな言葉を返すと良いと思いましたか。」といった問いが掲載されており、「主体的で対話的で深い学びの実現」に向けた題材が意識されています。
これからの学校教育では、ICTを活用する機会もより一層多くなり、授業では「デジタル教科書」を使用する頻度も高くなると思います。「デジタル教科書」を使えば、自然な流れのコミュニケーション活動ができる環境や映像を見ながら外国語を使用する体験ができます。