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2022.2.18

大学・社会が求める力を伸ばす自由な学び——探究プロジェクト・探究ゼミ
雲雀丘学園中・高等学校(兵庫県 共学校)

 

大阪工業大学と連携しての探究プロジェクト

 

2022年度から実施される高校の学習指導要領では探究学習が重視されている。「総合的な探究の時間」を軸に、社会科や国語科などでも探究型の科目が新設される。今回は、学習指導要領の実施に先立ち探究型の学習に力を入れている雲雀丘学園中・高等学校の先進的な取り組みを紹介する。入試広報部長の板倉宏明先生とグローバル探究部副部長の井上雅喜先生にお話を聞いた。

探究の3つの柱

「これからの時代、詰め込みだけではなく主体的に学んでいく教育が重要になります。2022年度の新指導要領で高校に探究型の授業が新設されるのに先立ち、本校では、中学校でも探究に取り組んでいくことにしました。」

探究ゼミ・探究プロジェクトを立ち上げた経緯をたずねると井上先生はそう話した。同校の探究学習は次の3つの柱から成る。

・探究の授業
・探究プロジェクト
・探究ゼミ

探究の授業は、中2・3・高1が週2時間、基本的な情報スキルからはじめて「探究論文」の完成を目指す。一方、探究プロジェクトと探究ゼミは、生徒一人ひとりの興味関心に応じて、プロジェクトやゼミを選んで受講する。

 

興味に応じたより深い学び――探究プロジェクト

探究プロジェクト「新聞記者入門」

「『探究プロジェクト』は外部の大学や研究機関、企業と連携した取り組みです。今年度はコロナ禍で制約がある中、これまでに12のプロジェクトを実施しました(年度内にさらに5講座開講予定)。外部での学びのため人数制限があり、人気のあるプロジェクトでは志望理由書による選考になることもあります。」

今年度の主なプロジェクトとしては、南紀白浜アドベンチャーワールドで2泊3日かけてジャイアントパンダの飼育や生態をSDGsに関連させながら学ぶ「ジャイアントパンダからSDGsを考える」、グループに分かれて商品を企画して実際に校内で販売する「起業体験プログラム」、現在建て替え中の同校新文化館をそのまま教材として使い設計・建築を学ぶ「建築ができるまで」、理化学研究所で最先端の生命科学に触れる「生と死の間」などがあった。

「『起業体験プログラム』では、大手企業や公共機関の第一線で活躍した企業出身者のアドバイスのもと、商品のアイデアだけではなく、収支計算までも綿密に計画する本格的なものです。『生と死の間』はレベルの高い内容で、参加者を高校生に限定しました。講義を受けた後、グループでディスカッションして、考えたことをまとめて発表するプロジェクトでした。講師の先生からは『自分の話に対してきちんと返してくれた』と高い評価をいただきました。」

 

大学のような自由な雰囲気――探究ゼミ

3つ目の柱「探究ゼミ」は昼休みや放課後に、教員がそれぞれの得意分野を活かしてゼミを開講。生徒は興味を持ったゼミに自由に参加する。こちらは学内の取り組みなので人数制限はない。板倉先生が説明してくれた。

「正課の授業と違い、大学の研究室のように興味を同じくする生徒と教員がそれぞれのペースで学ぶ場になっています。希望すれば複数のゼミに参加することもできます。3月に成果発表会(ポスターセッション)があり、他のゼミがどんなことをやっているのか知ることで、さらに興味が広がるきっかけになっています。」

自由に参加して学ぶ探究ゼミ

同校には、クラス・学年・クラブに加えて、このゼミという生徒の居場所があり、学年を超えた交流の場が開かれている。ユニークなゼミとして「手作りみその商品化に至るまでのプロセスを学ぶ」では、たつのの有名な麹(こうじ)を使った味噌を手作りして、文化祭で実際に販売した。

「Classiで保護者に購入予約を募ったのですが、すぐに完売となって驚きました。『甘くて美味しかった』などとても好評だったようです。生徒は、単に味噌を作るだけではなく、商品名を考えたり、広告の方法を工夫したりと、マーケティングの基礎についても学ぶことができました。」

手作り味噌は保護者に大好評

 

進学実績にも好影響

興味関心を原動力とする学びは、大学進学にも良い影響を与えている。2021年度の国公立大学合格126名のうち、推薦による合格が29名もいる。大阪大学への推薦合格8名は全国2位の実績だ。

「大学側も単に知識を覚えているだけの受験生よりも、自分の考えを持ち、しっかり表現できる受験生を求めています。生徒には、常々『探究は自由だ』と伝えて、クリエイティブでオリジナルな発想を奨励しています。」

 

進学館

 

雲雀丘学園中・高等学校
https://hibari.jp
宝塚市雲雀丘4-2-1 TEL 072-759-1300

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