2024年に創立100周年を迎えた神戸山手女子は「さらなる100年に向けた大改革」を掲げ、2025年にグローバル化対応、共学化、校名変更を軸にした学校改革に着手する。先日の塾対象説明会にて発表されたその概要についてお知らせする。
神戸山手グローバル
去る5月16日、神戸山手女子中学校の学習塾対象説明会が行われた。今年の説明会で発表されたのは、創立100周年に相応しい大ニュースだ。2025年4月から、グローバル化対応・共学化がスタートする。それに伴い学校名も変更され「神戸山手グローバル中学校高等学校」となる。
「これからの100年の新たな学校のあり方を考えると、外国人も生活する多様な社会で、共に生きる力を身につける必要があります。国際都市にふさわしいインターナショナルスクールの要素も備えた学校にしたいと考えています。」
平井正朗校長は今回の改革をこう説明した。英語教育に造詣が深く、グローバル社会の行方を鋭く見据える平井校長だからこそできる改革だと言える。
共学化について中学校では「グローバル選抜探究コース」を現在の女子30名から男女60名に増員・共学化。高校は「グローバル選抜探究コース」30名および「選抜コース」105名を男女共学とする。中高ともに「未来探究コース」は1クラスとして、こちらは女子のみの募集。
グローバルな共生社会の学校
共学化と並ぶ大改革の柱「グローバル化対応」では、アジアを中心に海外にルーツを持つ生徒を積極的に受け入れ、学校の中にグローバルな共生社会のモデルを構築する。海外生徒や国内からの留学生を想定した住まいとして、24時間セキュリティ万全、ラウンジやカフェテリア、スタディールームなどを備えた学生マンションも用意されている。日本にいながら海外生徒と授業や生活を共にし、グローバル社会を実体験できる環境が期待される。
様々なルーツの生徒を受け入れると言葉の問題が出てくるが、それに対しては、AIを活用した同時通訳機能イヤホンを導入。40種93言語への対応が可能とのこと。また、神戸という地域の特色から英語と同等に話者の多い中国語については、ネイティブのスタッフを迎え入れて、万全のサポート態勢を取る。
国際標準の秋入学に対応し、海外での取得単位を活用できる転入の仕組みも整える。中高での海外単位活用は日本ではほとんど例のない取り組みだ。さらに、系列の関西国際大学が神戸山手キャンパスに新設予定の「グローバル学部」とも連携し、中高大を通じてグローバルな学びを深めていく。
文武両道で伸び続ける実績
一連の大改革に着手できるのは、平井校長が就任以来3年間取り組んできた学校改革の成果がベースにあるからだ。一例を挙げると、4年制大学への進学率では、就任初年度(2021)70.5%から2023年度は80.0%へ10%近く増加。現高3生は90%近いと予想される。クラブ入部率は78%から92%となり、文武両道で生徒を伸ばしているのがわかる。また、同校がもっとも大切にしている「進路満足度」は昨年、生徒95.3%、保護者92.9%。成果を挙げるために学校が誘導しているわけではないこともわかる。
クラブ活動では、全国大会出場の陸上競技部、アーチェリー部に加え、新設のデータサイエンス部(e-スポーツ部併設)が人気で、創設当初の部員3人が、今では50人規模となった。2024年には、スポーツクライミング部、Chinese Communication Clubが創部された。他にも、卓球では地域のクラブチームとの連携をすすめ、全国大会に出場している。
その他「チーム学校で全ての生徒を確実に成長させる」「英語は日常の中で楽しく学ぶ」「教科横断的な探究力を育成する」「ICTを活用した個別最適化学習」「独自の”タイム・マネジメントシート”を活用した自己調整学習」など、新しい時代の学校づくりが着実に成果を挙げている。さらなる100年に向けた大改革に期待したい。