大阪・関西万博では、多様な参加者が主体となって未来社会のデザインを共に創り上げる参加型の取り組み「共創チャレンジ」が実施されています。これは「TEAM EXPO 2025」プログラムの一環として、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」の実現とSDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指しています。今回は「万博を通じて教育のあり方を考える」2回目として、万博における「共創」の枠組みと、そこから生まれる学びの可能性を紹介します。
万博が終わっても未来は続く
大阪・関西万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマのもと、これまでの万博とは異なる新しいアプローチとして「共創(Co-Creation)」が掲げられています。その中心を担うのが「共創チャレンジ」とそれを支える「共創パートナー」という枠組みです。
共創チャレンジとは、企業、自治体、教育機関、市民団体、個人など多様な主体が自らのアイデ アや活動を登録し、他の参加者と連携しながら実践していく社会課題解決のためのプロジェクトです。防災、環境、教育、医療、福祉、テクノロジー、ジェンダーといった多様なテーマに基づき、「未来社会の実験場」としての万博にふさわしい地域や世代を超えた多彩な取り組みが展開されています。これらの取り組みは、2025年の万博開催に先立ってスタートし、2020年10月の開始以来、現在、2300件が登録されています。万博終了後も継続的に社会にインパクトを与えることを目指しています。
この枠組みは、万博を単なる一過性のイベントで終わらせず、市民一人ひとりが主体的に関わり、社会全体を変革を生み出す「共創の場」へと進化させることを可能にします。
共創チャレンジの具体的な取り組み
「言葉で世界とつながろう!」ボーダレス社会応援プロジェクト!
日本人と外国人を繋ぐかけがえのないコミュニティを作り上げること、学習会等を通して相互理解を深め、日本と世界を繋ぐ架け橋を目指します。詳しくは…
「ダイバース・ユニバース~古今東西の星空をひとつに~」新興出版社啓林館・文研出版
時代や国・文化によってさまざまな見方をされてきた星座を共通フォーマット上に表現し、出版物や星座早見表、VR映像など、様々なアウトプットにチャレンジ。詳しくは…
「大阪の若者が挑むSDGsを解決するロボット開発プロジェクト」追手門学院大手前中高
SDGs などの社会課題に向き合い、デザイン思考をもとにその解決を目指したロボット開発活動を展開。これまで、手話通訳ロボットやお薬管理ロボットなどを製作。詳しくは…
共創を通して世代や立場を越えた人々がつながる
こうしたチャレンジを支援・促進する役割を担うのが「共創パートナー」です。自治体、企業、教育機関、NPOなど、さまざまな組織が登録されており、それぞれの専門性やリソースを活かしてチャレンジの成果を高めています。例えば、情報発信、資金的・人的支援、ノウハウ提供などを通じて、共創チャレンジの拡大と深化を支えます。
写真は、共創パートナーである日本技術士会のエンジニアが共創チャレンジの中高生に技術的なアドバイスをしている様子で、万博会場外でも、世代や立場を越えたつながりを生んでいます。

日本技術士会の支援活動
「共創の意義について」日本国際博覧会協会 鈴木猛志さん
大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとし、「People’s Living Lab――未来社会の実験場」というコンセプトに、展示を“見る”だけでなく、世界80億人がアイデアを交換し合い、人類共通の課題に挑む国際的な実践の舞台としています。「TEAM EXPO 2025」プログラムは、万博開催前から共創に取り組んできました。多様な個人や団体が「共創チャレンジ」として活動を発信し、世界中の課題やソリューションを共有できるオンラインプラットフォー ムも開設。誰もが参加し、未来づくりに貢献できる機会を広げて います。万博をきっかけに、共創に取り組み、会期後も持続的に広がっていくことを期待しています。
共創から生まれる学び
共創チャレンジや共創パートナーの活動を通じて、参加者は社会課題への理解、協働の方法、課題解決の実践力など、多くの学びを得ることができます。教育の現場では、プロジェクト型学習や 探究学習と結びつけることで、生徒・学生たちが「リアルな社会」とつながり、より主体的に学ぶ姿勢を育むことができます。関西万博における「共創」の学びは、夢洲の会場だけではなく、日本中で世代や立場を越えた人と人のつながりをつくり、時代を担う若者たちの大きな学びの機会を創出しているのです。