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ミライノマナビコラム  ― 子供たちのシンギュラリティ

2022.10.28

第19回 心理プロセスを応用した子供たちのICT制限

小泉 貴奥

日本シンギュラリティ協会 小泉 貴奧

米国テキサス大学アーリントン校学際学部卒。レイ・カーツワイルの思想に傾倒し、帰国後2007年に日本シンギュラリティ協会を設立。講演やセミナーを開催し概念の普及に努める。ベンチャー企業を3社立ち上げ、電子カルテや各種ネット系サービス、人工知能開発を行うなど、シンギュラリティの実現へ向けて邁進している。
日本シンギュラリティ協会
https://www.facebook.com/groups/JapanSingularityInstitute/

 

前回は子供の脳の発達にICTが悪影響を与える可能性や、ICT長者が自身の子供達に強いICT制限をかけていることに関して書きました今回は私が自身の子供に実際行っているICT制限について書きたいと思います

 

子供が興味を持つのは当たり前

 まだ私の子供は幼児ですが、家にある数多のスマートデバイスに興味あり、目を離した隙にいつの間にかパスワード解除に挑戦してしばらくアクセスできなくなっていたり、ものすごい量の写真を撮影していたりします。

 親が頻繁に使用するものに興味を持つことは当然ですが、幼少期のスマートデバイスの使用は脳に悪影響があるため、私は自分の子供たちには使用を制限しています。

 

心理プロセスをヒントにした制限方法

 制限の方法ですが、ただダメというだけでは子供も聞きません。そこで子供の心理プロセスに訴えかける方法を使っています。マーケティング用語にAIDMA (アイドマ)というものがあります。顧客が商品やサービスを認知してから購入するまでのプロセスをモデル化したもので、1.Attention(認知・注意)、2.Interest(興味・関心)、3.Desire(欲求・渇望)、4.Memory(記憶)、5.Action(行動)の頭文字を取ったものです。

 AIDMA100年も前に購買モデルとして提唱された心理プロセスで、本来は子供の関心プロセスを説明するためのものではありません。しかし人間が物事に関心を抱くプロセスに大人と子供でさほど違いがあるとも思えませんし、購買を使用に置き換えても通じるのではないかという思いから試しに適用してみています。

 すると、子供は親が使っているのを見て(Attention)、関心を持ち(Interest)、自分も使ってみたいと思い(Desire)、親が使っておらず置いてあるのを見て(Memory)、使う(Action)という流れで、使うところまでいくと考えることができます。この場合は、行動するまでの各プロセスを絶てば良いことになります。

 つまり、1.子供の前で使わない、2.関心を他のところへ移す、3.必要性を感じさせない・使えないようにしておく・使い方を教えない、4.見えるところに置かない、ということになるかと思います。

 

非認知能力の向上につながる遊びを

 14の中でも主に初期段階の対応に注力しています。まず1では、私は紙の本よりも電子書籍を読むことが多いのですが、「本を読んでいる」という行為の内容は子供には伝わらず、「携帯をいじっている」という認知を与えるだけになります。そのため、子供の前では紙の本を読むようにしています。

 次に2関心を他に移すについては、例えばすでに買っているおもちゃや本に誘導しています。以前にも述べましたが、非認知能力の向上には、対話、身体を使った外遊び、誉める、ごっこ遊びをする、好きなことを見つける、などが有効とされています。身体を使った遊びであればトランポリンや器械体操、ごっこ遊びではミニカーやプラレール、指人形、マグフォーマーなどを提案します。公園に連れて行ったり、電車に乗せたりも良いでしょう。写真が撮りたいといえば、スマートデバイスではなく使っていないデジカメを渡したりしたこともあります。

 3に関しては使い方を伝えず、4に関しては携帯は親の物だとして渡さず、使おうとしたら終了させています。

マグフォーマー 磁石着脱式のブロック

 

これから子育てする方へ

 このような形で最近は進めていますが、昔スマホなどを自由に使わせていたというのもあり、言い出したら引かない性格の私の子供には残念ながらあまり効果が無いようです。ひょっとしたら少しはましになっているのかもしれませんが。もしこれからご自身のお子様にスマートデバイスをお見せになる場合、本記事がご参考になれば幸いです。

 

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