2030年に向けて、すべての人々にとってよりよい、より持続可能な未来を築く「持続可能な開発目標(SDGs=Sustainable Development Goals)」は、現代を生きる子どもたちにとっても欠かせない共通の考え方です。今回は、そのSDGsの学びに小学校外国語教育がどのように活用されるのか、見ていきましょう。
小学校外国語教育×SDGsの学び
2030年に向けて世界が合意した「持続可能な開発目標(SDGs=Sustainable Development Goals)」※とは、すべての人々にとってよりよい、より持続可能な未来を築くための青写真です。貧困や不平等、気候変動、環境劣化、繁栄、平和と公正など、私たちが直面するグローバルな諸課題の解決を目指します。
※ SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字 | 国連広報センター (unic.or.jp)
SDGsについて考えることは、日本の子ども達にとって、彼らの日常生活では考えることがないような世界の様々な問題について目を向ける機会でもあります。そして、SDGsの学びは、社会や理科、家庭科、保健体育等だけでなく、小学校外国語教育でも大いにできると思います。小学校外国語科の教科書を活用してみましょう。
◆SDGsの目標2 「飢餓をゼロに」
——(事実と数字)現在、世界人口の 9 人に 1 人(8 億 1,500 万人)が栄養不良に陥っています。
『NEW HORIZON Elementary 6』Unit 6「日本の食糧事情」では、海外から食料の多くを輸入していることを子ども達に認識させ、地産地消カレーを勧めています(Let’s eat beef tongue curry. The beef is from Miyagi.)。また、日本の年間の「食品ロス」についてクイズ形式で行うものや「世界の食糧事情」では、世界の食糧問題を伝える地図が紹介されています。(『NEW HORIZON Elementary 6』p.59)
ここでは、日本の食糧事情を理解し、「食品ロス」をなくすことを認識させることができます。そして、地球規模で「飢餓をゼロ」にするための方法を考えることができます。
◆目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」
『Here We Go! 6』Unit 8「なりたい職業とその理由を伝えよう」(『Here We Go! 6』p.98)
Let’s listen ニックが、外国人留学生に将来の夢を尋ねます。それぞれのなりたい職業を線で結び、その理由を書きましょう。
Nick: Hello, Celine. I have a question.
Celine: Oh, hello, Nick. What’s the question?
(中略)
Nick: Do you have a dream? What do you want to be?
Celine: I want to be a doctor.
Nick: Oh, you want to be a doctor. Why?
Celine: I want to help people. I want to help children in Africa.
Nick: Wow. You are amazing. Good luck, Celine.
このUnitの目標は、「なりたい職業とその理由を言って、将来の夢を発表することができる」です。この活動では、なりたい職業とその理由を、SDGsの視点で考えることができます。Celineの例では、第3目標である「人々の健康的な生活を確保するために、多種多様な健康問題に取り組む」等がその理由として考えることができます。
◆目標6「すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する」
——(事実と数字)敷地内で水が得られない世帯の80%では、女性と女児が水汲みの責任を担っています。
『Here We Go! 5』「世界の友達2」
フィリピンのアビーさんが質問に答えています。(『Here We Go! 5』p.94)
Q: What time do you get up?
A: I usually get up at 5:00.
Q: Do you help your parents?
A: Yes. In the morning, I bring some water for my family.
この会話で、アビーさんが5時におきること、早起きの理由として、毎朝家族のために水汲みをしていることがわかります。水汲みの仕事は子どもにとって大変な重労働だと言われています。アビーさんが「女性」「子ども」の弱者の立場であること、水の大切さ等も理解できると思います。
◆目標12「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」
——(事実と数字)水の使い過ぎは、世界的な水ストレスを助長します。食料関連のエネルギー消費と廃棄物の発生による環境への影響も生じています。
『NEW HORIZON Elementary 6』Unit 5「地球の環境を守るには」では「わたしたちにできること 環境を守るためにどんなことができるか、考えてみよう。We can reuse clothes.」等、can を使って、英語で表現することを学びます。「ごみを減らす」「水を大切に使う」「ボランティアをする」等の例が掲載されています。
(『NEW HORIZON Elementary 6』p.49)
We can recycle cans and paper. We can save water. 等、子ども達が日常生活の身近なところから、環境のために「できること」を英語で考え、世界の子ども達と交流することができたら良いですね。