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大改革時代に向けて

2019.4.22

自ら学び続ける力を身につけて 新時代に輝く女性に
親和中学校・親和女子高等学校 竹内弘明 校長

竹内弘明 先生
親和中学校・親和女子高等学校 校長
130年の伝統を誇りながら、時代に応じた機敏な改革を進める親和。そのトップとして、変化の先を見据えた女子教育を実践している。

親和中学校・親和女子高等学校
www.kobe-shinwa.ed.jp/
神戸市灘区土山町6-1
TEL 078-854-3800

 

女性の可能性が開ける時代

現代は、グローバル化や高度情報化の進展が著しく、先行きが不透明な時代です。さらに、今の子どもたちは100歳まで生きると言われています。これまでの正解が正解でないかもしれない時代がやって来ます。

進化論が明らかにしたのは、生き残るのは「力の強い者」でもなく「頭の賢い者」でもなく「変化に対応できる者」だということでした。変化の激しい時代には、柔軟に対応する力こそが、たくましく生き抜く力になるのです。多様な価値観を受け入れて、自ら課題を見つけて解決できる力、最適解・納得解を見出す力が重要になってきます。

とはいえ、時代の変化は必ずしも悪いことばかりではありません。依然残る古い価値観のため、女性が活躍できる分野はまだまだ未開拓のままです。これからの社会で重要性を増す感性や人間らしさを活かせば、女性が活躍できる分野は切り開かれていくはずです。

 

20年・30年後も輝く人に

この春、次期学習指導要領の移行措置として「総合的な探究の時間」がスタートしました。大阪大学の世界適塾入試のような主体性を評価する入試も既に始まっています。不確定なところも多く残っていますが、今後、大学入試が変わっていくのは確実だと思われます。

本校としても新しい入試制度への対策は行っていますが、それよりも、もっと大きな観点で中高の教育を捉える必要があります。目先の大学入試が人生のゴールではないからです。彼女たちが社会に出てから、20年後・30年後にも輝ける女性を育てることが目標だからです。

具体的には、これまでSコースで行なっていた探究型の学びの成果を活かして、今年度から総合コースを含めた全校で探究型の学びを拡充していきます。

グループで自分たちの課題を決めて、協働して研究に取り組み、主体性を持って意見を発表します。そして、単に発表するだけではなく、他の生徒の発表に対して、課題意識を持って質問をすることを大切にしています。クリティカル・シンキングができないと良い質問はできません。発表の機会を充実させて、物事の本質を見抜く力を伸ばしていきたいと考えています。

質問力を磨くポスター発表

 

人間力・国際力・情報力

これからの時代、人間力・国際力・情報力の3つの力が必須となります。

本校が創設以来重視してきた人間力は、拡充する探究型の学びによって、より具体的な力として身につけていきます。

国際力については、定評のある多彩な国際交流に加えて、2020年度、高校で新たに「国際コース」を開設します。中長期の海外留学や第二外国語の選択必修化などで、グローバル社会で活躍できる人材を育てます。中学からの内部進学生も希望すれば「国際コース」に進むことができます。

情報力ではICTツールを使いこなして、学び方を学ぶ学習に取り組みます。これまでのように、教師が教えてばかりでは、社会に出て教える人がいなくなった時に、学びが止まってしまいます。生徒が自らツールを駆使して学び続けるというのは、教育が本来目指すところなのです。

2018年度から、高校では一人一台のタブレットを導入しました。既に全教室に設置している電子黒板と連動させることで、授業の進め方が大幅に変わりました。例えば、事前に授業で扱う内容を動画などで配信して、授業では考えたり、議論したりする時間を増やす取り組みや、自分たちで調べて、自主的に話し合うような授業が増えています。また、タブレットを使ったオンライン英会話では「話す」「聞く」時間が圧倒的に増えました。

これら新しい学びについて、アクティブ・ラーニング委員会を中心に、教員同士で授業公開し、ICTの活用法を共有したり、神戸親和女子大学の研究者から指導を受けたり、職員会議の後にミニ研修会を開いて、ちょっとした授業の工夫やツールの使い方をレベルアップさせたり、学校を挙げて取り組んでいます。

新設のラーニングコモンズで協働的な学びを展開

 

信頼すれば子どもは応えてくれる

保護者の皆さんには、新時代の学びに取り組む子どもたちを信頼して見守って欲しいと思います。

我が子がまだ小さい時には、ちょっとしたことでも褒めてあげたのではないでしょうか。それが子どもが成長するにつれて、否定や禁止、命令が増えていきます。

中高生でも、褒められると嬉しいものです。表面的には照れくさいから、素直に喜ばないかもしれません。しかし、内心は嬉しく感じていて、もっと応えようとするはずです。

中高生にもなると、保護者に言われなくてもやるべきこと自分で理解しています。直接、勉強しなさいと言って勉強するなら苦労はしません。子どもが勉強しようという気になるようにしてあげることが大切です。子どものことを認めてあげたり、褒めてあげたり、将来のことを話しあったりしながら、気持ちを醸成し、スイッチが入るような土壌づくりが大切かと思います。教育の目標は子どもが自立すること。何でも先回りして「あれをしなさい。これをしなさい」と言うのではなく、年齢に応じて距離を取っていくことも必要だと思います

 

私の未来年表 竹内弘明
未来への抱負 教育・社会の変革 現小6
2020〜24年 高校に国際コース設置 中1〜高2
2025〜29年 留学生の受入れ
卒業生のネットワークによる学びの支援、探究アドバイザー制度の構築
スーパー等のレジの無人化
がんの特効薬が開発される
高3〜大4
2030〜34年 新たな枠組みの中高一貫校 労働時間は週15時間程度に
今ある仕事の半分がなくなる(自動化される)
高校教育の義務教育化
新卒
2035〜39年 ICT未来型校舎に改築
創立150周年
教育制度改革(6・3・3・4制の改編)
公共交通機関の自動運転化
人類が火星に降り立つ
28歳
2045〜49年 シンギュラリティ
世界通貨が共通となる
平均寿命100歳
38歳

 

進学館

 

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