未来はワクワクするためにある
10年後の自分を思い描いてください。今よりも一層正解のない問いに取り組む姿が見えると思います。近年、シンギュラリティ※が叫ばれています。先端技術を駆使したイノベーションが進む中、アルゴリズム化できる仕事はAIに任せ、人生のイニシアティブは各自でセレクト、チャレンジする分野をどのようにインセンティブをつけて創出し、個の創意工夫が共鳴しあい、互いに可能性を引き出すかが大切です。ICT技術がいかに発展しても、その役割は与えられた目的達成のツールにすぎません。他方、人間は、豊かな感性によって未来の“あるべき姿”を創造し、社会をどのような方向にもっていくのが最適かを考え出し、実践していくことができます。求められる人物像は、個々のアイデアを具体化するために、突き詰めて考え、探究し、そこから何が出てくるか見極めて前に進むスピリッツを有する方。
本校では、なりたい自分が見つかるように豊富な学びの選択肢を用意し、自分にピッタリな取り組みで学力をアップさせる個別最適化学習、4技能のバランスのとれた英語コミュニケーション力の育成とグローバルな視野を広げる教育、正解のない問いに対して最適解を求める探究学習を展開し、生徒一人ひとりの夢を実現します。
※シンギュラリティ:技術的特異点。コンピュータの計算能力が全人類の脳の総計を上回る時点のこと。
進路満足度100%を目指したコース・コンセプト
「学びの選択」では、これまで「進学する」と漠然としていた生徒の目標を、一人ひとりの進路満足度を高めるように、コース・コンセプトを明確にしました。中学は未来探究コースに一本化、5教科の基礎・基本を徹底します。本校の強みは“面倒見のよさ”、成長実感が得られる“寄り添う”指導に期待してください。高校から普通科は選抜コース、未来探究コースの2コース、音楽科は演奏専攻、音楽総合専攻の2専攻に分かれます。選抜コースは中堅国公立大学、難関私立大学がターゲット。今年から有名予備校の実力派講師も課外授業に加わっています。未来探究コースは併設の関西国際大はじめ、有名私大の指定校を中心に進学します。関西国際大学には、国際コミュニケーション学部・社会学部・心理学部・教育学部・経営学部・保健医療学部の6学部(7学科)が設置されており、保育士、教員免許状(幼、小、中、高、養護)はじめ、様々な資格の取得も可能です(平井校長も「学校経営論」を担当)。
中高時代では、どのように学ぶのか、何ができるようになるのかを重視し、背景知識をアップデートできる探究力を伸ばしつつ、興味・関心の対象を見つけることがファースト・ステップ。そして、リアルな社会的課題の解決に向けて、必要とされる学びを深めながら本質を捉え、既成概念にとらわれない着眼点を伸ばすことを目標としています。
神戸山手のグローバル教育・英語教育
現代社会は、ヒト・モノ・カネの流動が活性化し、様々な分野でボーダーレス化が加速しています。このグローバル化と共に、私たちも地球市民としての意識を共有、他者と協働しながら一人ひとりの幸福を追求しつつ、社会貢献していかなければなりません。その土台を創るのが本校のグローバル教育の考え方です。異文化理解としてのグローバル教育とコミュニケーション・ツールとしての英語教育を通じて、感性を磨き、時代の要請に対応できる生徒を育成し、グローバル化がもたらす諸問題に対する政策の選択肢を増やす教科横断的な探究力をもった生徒を育成するかが重要です。その一助として、EdTech教材による個別最適化学習、ネイティブ教員の学年配置、セブ島での語学研修、English Roomにおける英語を話す環境づくりなども行っています。異文化理解で大切なことは共生の精神。異なる価値観や倫理観をもつ人々の文化の多様性を受け入れる寛容さと自国の文化や伝統を深く理解し、尊重する姿勢を養成することが重要ではないでしょうか。
EdTechの先進事業を先導
個別最適化学習(アダプティブ・ラーニング)は、最新の教育テクノロジーを使った、EdTech(エドテック)教材で実現します。本校は「先端的教育用ソフトウェア導入実証事業」という経済産業省の事業に中高で3件が採択されました。EdTechとは、Education(教育)とTechnology(テクノロジー)からなる造語で、教育界のイノベーションとして注目を集めています。
ポイントは、LMS(Learning Management System)と呼ばれる学習管理システム。これは学習履歴を蓄積するもので、到達度に応じたオーダーメイドの学習内容を提供してくれます。本校では、中学校で5教科、高校では数学・英語・探究学習で実施しています。授業の流れとしては、単元導入は担当教員が一斉指導を行い、その後、生徒はタブレット端末を用いて練習問題にチャレンジ。解いた問題は自動採点、解説が表示されますが、併せて、誤答分析して到達度に合わせた問題を出題してくれるので、生徒は効率よく学習に取り組めます。担当教員は学習管理ツールを用いて、個別フォローを深めることができます。リアルタイムに生徒の理解度を把握することで、それぞれのつまずきに対して、きめ細かな個別指導を行い、苦手意識の解消や、基礎学力及び学習意欲の向上をねらいとしています。さらに学習データを見える化し、エビデンスを共有することで、よりサポート体制を強化することが可能になります。
教師の役割もティーチャーにファシリテーターの要素がブレンドされ、知識を教えるだけでなく、生徒のモチベーションを維持したり、興味・関心を学びにつなげたりする役割が期待されています。“学びの継続“はすべての人にとっての一生のテーマ。自分の磨く努力が成長につながるという成功体験のスモールステップの積み重ねが次のステージを開くのです。
先生方に求めているもの——学校力とは組織力——
よい教師になるためのキーワードに、「五者」(学者、医者、役者、易者、芸者)という造語があります。教育に携わる者は、生徒を指導する機会(一期一会)をいただいたことに感謝し、生徒とともに「成長」を求め続けなければなりません。先生と呼ばれる以上、礼節をわきまえ、生徒や保護者から尊敬されるよう努力するのが努め。
「学者」で言えば、多様な指導への挑戦は勿論、それがどのような理論に裏打ちされているのか、じっくり研究してほしいと思います。教師の仕事は、生徒理解に始まり、生徒理解に終わるもの。生徒が成長していく前提は元気で健康であるということ。その意味で、担任教師は生徒にとっていかなる不安も取り除ける「医者」であるのと同時に、よき理解者であり、生徒を一目見ただけで心理状態まで見抜き、適切な言葉かけができるよう修練を積まなければなりません。「易者」で言えば、生徒一人ひとりに夢ある未来を語れる教師になること。人は誰もが無限の可能性をもっているわけですから、発達段階をふまえ、個性を尊重した道を示すことが重要です。「役者」「芸者」はサポーターといった方がよいかもしれません。生徒があらゆる面で成長していくにはモーティベーションがすべて。その仕掛けづくりこそが教師の腕の見せどころです。やる気を引き出すのは難しいことですが、学校という舞台で生徒と苦楽を共にし、長所を伸ばし、感動を与えられる演出を工夫することをお願いしています。