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大改革時代に向けて

2024.4.26

さまざまな経験を積み個性を発揮することで育まれる「やり抜く力」
四天王寺高等学校・四天王寺中学校 校長 中川章治先生

中川 章治 先生
四天王寺高等学校・四天王寺中学校 校長
1989年、四天王寺高等学校・四天王寺中学校の国語教師となり、2014年に入学対策部長、2020年高校教頭。同校での34年の教師歴を経て2023年4月より現職。さまざまな経験を積み「やり抜く力」を育むことを大切にしたいとのこと。

四天王寺高等学校・四天王寺中学校
https://www.shitennoji.ed.jp/stnnj/
大阪市天王寺区四天王寺1-11-73 TEL 06-6772-6201(代)

激しい時代の変化を背景に、教育の役割も大きく変わっていく。このコーナーでは「明治以来の大改革」と言われる教育大改革時代に、リーダーたちの指針や抱負をお聞きし、変化への心構えを考えます。今回は2023年に四天王寺高等学校・四天王寺中学校の校長に就任された中川章治先生。制約が多かったコロナ禍から力強く再始動した同校の取り組みをお聞きします。

 

止まっていた取り組みが再始動

 私は本校で2014年に入学対策部長、そして3年間教頭を務め、2023年春に校長となりました。この間、時代が要請する新しい学びについて、さまざまな取り組みを考えていました。しかし、この3年間は新型コロナの影響があり多くが止まっていました。2023年度は、それらが本格的に動き出した一年になりました。

 その一つが、グローバル時代に対応した、海外との交流の拡充です。これまで国内だった中学校の修学旅行先を台湾へ変更し、さらにイギリスの名門女子校チェルトナム・レディース・カレッジでのサマースクールへの参加を4年越しで実現しました。

 チェルトナムは津田梅子・下田歌子が訪問・滞在して学校づくりの手本とした、日本の女子教育の原点とも言える学校です。その学寮に2週間滞在して、本物の英語や現地の文化などに触れます。参加するには高校1年・2年で英検2級以上が条件ですが、それでも希望者が多く、抽選をすることになりました。

 本校には、海外に出ていくことに積極的な生徒が多く、シンガポールへの高校修学旅行も好評でした。中高時代にはさまざまなことを経験しておくことがとても大切です。特に海外留学は、一度海外経験があるだけでハードルが大きく下がります。

4年越しで実現したチェルトナムでのサマースクール

 

時代が求める女子のリーダーシップ

 女子教育の良さは、性別による偏見なく、生徒一人ひとりの個性を存分に発揮できるところです。自分がどんな人間かを模索する中高時代、個人の人格・パーソナリティを発揮することは、後々の人生にとても重要な経験です。たとえば、本校では7:3で理系希望者が多くなっています。理科や数学が好きだという生徒の良さを大事に育て、そのまま6年間成長できるのも女子校の良いところです。

 また、女子校ならではのリーダーシップを伸ばせるのも女子教育の良さです。本校では、学校行事ごとにいくつものチームが編成されます。毎回同じ生徒がリーダーになるわけではなく、多くの生徒が一度はリーダーを経験します。

 女子校で培われるリーダーシップは、これからの時代に求められるリーダーの資質でもあります。古い時代のリーダー像は、強いカリスマ性で先頭に立って引っ張っていく人でしたが、現代では、チームが全体として課題に立ち向かいます。そのため、チームを支え、盛り上げて、一つの方向に持っていけるリーダーが求められます。

 近年、日本は衰退しているとの悲観論も聞かれますが、女性のリーダーが新しい視点をもたらすことで、まだまだ社会を変えることができます。システムや製品のデザインはもちろん、発明・発見に至る目の付けどころ、ネットワークの作り方、情報共有の仕方などで、十分に女性の力を活かし切れていないと感じています。

 本校の生徒たちはいつも賑やかで「学校生活は忙しいけれども、楽しい」という元気な生徒が多くいます。勉強も行事もクラブもいずれも手を抜かず、達成感を得ることを喜ぶのが本校の校風として、ずっと受け継がれてきました。

 

コースごとに特徴のある探究学習

 ICTの活用をはじめ、生徒の将来に必要となる新しい学びはどんどん取り入れています。探究学習については、中1で全コース共通の探究学習の基礎を学び、中2からはそれぞれのコースで特徴のある探究学習を始めました。

 「英数Sコース」では、本校独自の演劇教育を新たに始めました。ピッコロ劇団の方を招いて、表現力を磨きます。大きな声ではっきりと発声することからスタートし、自分たちで書いた脚本で、英語による舞台発表に挑戦します。

探究学習では演劇発表にも挑戦

 「医志コース」では、持続可能な医療をテーマに学びます。ハーバード大学生とのディスカッションを通してものごとを本質的に考え、英語での発表力を伸ばす「SLICEプログラム」や、巣鴨高等学校で実施される「Double Helix」(イギリスの研究者や医師の講義とディスカッション)に参加します。

 「英数コース」では、日経新聞と連携した次世代型のキャリア教育など、自分たちで調べ、広い視野を開く取り組みを行なっています。

 コースごとの特徴が明確になったことで、成績だけで決めるのではなく、目指す将来や興味関心に応じてのコース選びがいっそう実現しています。

 

やりたいことに打ち込める環境

 中学3年間で固めた探究力を活かして、高校では生徒それぞれが自分の好きなこと、興味を持つことで、どんどん活動していきます。たとえば、学会の中高生向けセッションで発表する生徒や、生物学オリンピックで優勝する生徒、生徒が自分たちで企業とのコラボレーションを進めたこともありました。

日本再生医療学会総会での発表

 中高時代は、学ぶことや活動が自分の興味とマッチすれば、大きく伸びるものです。そして、自ら目標を持つことができれば、とてつもなく努力をすることもできます。そのためにも、色々な経験を提供することが学校の役割だと考えています。

 

最後までやり抜く経験を

 中学受験は必ずしなければいけないものではありません。しかし、目標をもって努力したという経験に価値があります。人生には、つらいことやたいへんなことが必ずあります。時には逃げたり休憩したりしても良いのですが、最後までやり抜いたことは、その子の将来にとても大きな力となります。たとえ失敗したとしても、次にどうすればいいのかを考えるステップになるのです。その経験値は、中学受験に挑戦した人にしか得られないものです。しっかりとやり抜いてください。

 

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