グローバル化が叫ばれ、海外大学への進学を視野に入れる中高生が増えてきた近年、アサンプション国際では今年から「海外大学進学協定校推薦入試制度」をスタートさせた。制度新設の経緯や概要について丹澤直己校長にお話をうかがった。
EnglishコースからIB校そして世界の大学へ
「本校は世界34か国に学校を持つアサンプションの一員です。今回の制度を創設する前から、海外留学はもちろん、海外大学に進学する卒業生は多くいました。それをさらに拡充させて、国や学部の選択肢を増やす制度を整えました。」
フランス・パリで誕生したアサンプション(聖母被昇天修道会)は、フランス、イギリス、スペイン、ベトナム、タイ、フィリピン、メキシコ、アメリカ(ボストン)など、まさに世界中に学校を持ち、その中には大学もある。今回の制度ではそれに加えて、オーストラリア、カナダ、アメリカの他の州へと進路の選択肢が広がる。協定大学は40大学以上に及び、中には、シドニー大学(オーストラリア)、アデレード大学(オーストリア)、キャンベラ大学(オーストラリア)、ヨーク大学(イギリス)、アリゾナ州立大学(アメリカ)といった世界大学ランキング上位校(THE世界大学ランキング2020で200位以内)も名を連ねる。さらに注目なのは、アサンプションの強みを生かした国際バカロレア(IB)からの海外大学進学というキャリアプランである。
「マニラにあるアサンプション サンロレンゾ高校が、現在、IBの認定を申請中です。そこで希望者対象に、高校2年・3年で、このIB校に留学して、大学入学の準備を積み、そこから日本も含めた世界中の大学で学ぶ、という進路を計画しています。海外IB校で、24時間英語づけの環境の下、learnを超えたmasterの域を目指します。」
IBDP(ディプロマプログラム)を修了し資格を得れば、世界中の大学への入試で優遇される。日本に戻って大学を選んでも良いし、協定校以外の海外大学にも道が開ける。
日頃から英語に触れる環境
充実した進路の選択肢だが、多くの保護者が気になるのは「果たして我が子がついていけるのだろうか」という点だろう。この点でも、同校には手厚いグローバル教育の環境が整っている。
「『Englishコース』では、ネイティブ教員と日本人教員のチームによるイマージョン教育を実施しています。英語はもちろん、物理や数学、音楽といった他教科を英語で行い、単なる会話にとどまらない、学術的な概念の理解まで深めた英語力を身につけます。またクラス担任も2人体制で、日本人とネイティブ教員がつくので、日頃の学校生活から英語を使う環境が整っています。」
中学入学時に、全ての生徒がいきなり英語で授業を受けることができるわけではない。語学は毎日の積み重ねによって伸びる教科だ。だからこそ常にネイティブの英語に触れながら、日本人教員の手助けも必要となる。
「最初は少しずつでも良いのです。簡単な文章でも通じると嬉しくなり、もっと学びたいと思うようになります。そしてその環境で半年ほど学校生活を送ると、いつの間にかネイティブ教員と日常会話ができるようになっています。毎年実施するEnglish Campで、ネイティブ教員とコミュニケーションをとる喜びを経験することで、英語が好きになる生徒も多くいます。」
グローバル教育の先にある人としての成長
同校では、海外留学も多彩で、中1・2希望者対象のニュージーランド留学、中3でのニュージーランド3ヶ月、高校でのカナダ留学など、学びたい意思にいくらでも応える制度がある。世界中のアサンプション校との交換留学も盛んで、年間を通して常に留学生がいる環境も特徴だ。
「留学に参加した生徒は、とても大きく成長して帰ってきます。それまでは日本人同士の小さな違いを気にしていた生徒が、帰国後には多様性を受け入れることができ、勉強ができる境遇に感謝するようになるなど、心の成長を感じます。」
日本にいるとなかなか実感できないことだが、世界には勉強がしたくてもさせてもらえない子供がまだまだいる。そんな世界の現実を知り「どんなに貧しい家庭に生まれても平等に学べる世界を作りたい」と最貧国の教育を支援する仕事を選んだ卒業生もいる。
「グローバル社会で活躍するためのコミュニケーション能力や思考力はもちろん大切ですが、それらの能力を身につけた先にあるもっと大切なものを生徒たちは見出していきます。留学を経験して『人を思いやれる教育が大事だとわかった』と話してくれた卒業生もいました。学ぶということは、成長を実感したり、喜びを感じたりできるからこそ意味があるのだと思います。」