コロナ感染拡大防止のため、長期にわたる休校が要請された。その状況の中、先進的な私学ではICTツールを活用したオンライン授業など、新たな学校のあり方が模索されている。今回は、高槻中学校・高等学校の取り組みについて詳細をお聞きした。
オンラインで授業から生活指導まで
同校では中1から高3までの全ての学年で、オンライン授業を実施している。休校要請が延長された直後の4月13日(月)に中2から高3は「オンラインホームルーム」にて使用するアプリ「Zoom」の設定方法や授業の受け方について指導を行い、翌14日から授業を開始した。当初は週4日(月・火・木・金)、1週間あたり40分×12コマ(高3はほぼ倍の授業時間を設定)でスタート、5月11日からは週5日24コマ〜30コマに拡充した。オンライン授業以外の時間は、教員から指定された学習動画の視聴や、ネットで配信された課題・演習に取り組む。
リアルでのオリエンテーションを実施できない新入生は、「オンライン学年集会(オリエンテーション)」に参加してもらい、学年団教員の紹介に始まり、通学路や校内を映像で探検したり、学校生活や生活指導、学習指導などの説明を受けたりするといった学校生活の準備からオンラインで行なった。
中1は、iPadの配布前に休校となったため、オンライン授業への参加には、各家庭のデバイスを使っている。在校生は、中2~高1がiPad、高2がSurface Go、高3がChromebookと、多様なデバイスから受講できるようになっている。
単に休校での空白を埋めるだけではなく「教員は、毎朝、クラスごとに、生徒一人ひとりの健康調査を行い、生活習慣が乱れないようにオンライン朝礼を実施している」(同校)と、生活の基盤としての学校の役割もオンラインで実現する。教員の側も「生徒一人ひとりの表情が見られてホッとする」と録画配信やプリント配布にはないオンラインのメリットを感じたようだ。教育とはやはり人と人との間で成り立つものなのだ。
授業の始めには、チャット機能を利用して出席を確認。授業では、メンバーを組み替えながらのグループディスカッションや理解度のチェックを投票で確認するなど、オンラインならではの双方向性の高い授業が実践されている。また、オンラインであることで、教員の在宅授業も可能になり「ステイホーム」にも寄与している。
学校本来の役割が明確に
オンライン授業がリアル授業よりも優れている点をたずねると「双方向型オンライン授業では、教員は生徒一人ひとりの表情を見ながら授業ができる。生徒にとっても教員が自分に語りかけてくるように感じられ、集中力が高まる。資料の提示が効果的にできるので、授業の進度を高めることができる」と答えてくれた。
逆にやはりリアルでしかできないこととしては「教室の雰囲気や生徒の反応に応じた臨機応変の指導実践」を挙げた。特に「情熱や感動はやはり対面授業の方が効果的に伝えることができるということを再確認している」と指摘。オンライン授業の実施によって、情熱や感動といった生徒に本来伝えるべきものが明確化したことも、結果的にはメリットだったと言えるだろう。