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2021.7.30

私たちが海外進学をすすめる理由
第3回 海外大学で感じたカルチャーショック

 

近年、進学校でも進路として関心が高まっている海外大学。ただ、まだまだハードルが高いと考えている家庭が多いのではないでしょうか? 本連載では、日本の高校から米国・ニューヨーク州の名門コロンビア大学に進学し、高校生の海外進学を支援する活動に取り組む田中祐太朗さん、李卓衍さんに海外進学の実際をお聞きします。

 

Q. 入学して感じた日本の大学との違いは?

田中:日本の大学との一番の違いを感じた点は、やはり多様性でした。私達の学年だけで80カ国以上から学生が集まり、国籍や人種のみならず、育った背景、価値観、興味分野、何もかも違う人たちが同じ環境に集う機会はなかなか得られない環境だと感じました。飛び級し、16歳で同じ授業を受けている人もいれば、米国海軍で10年活躍し、退役後大学に入学し、赤ちゃんを連れながら授業の制作課題に一緒に取り組んだ人もいました。日々全く異なる世界から来ている人と関わり、生活したり勉強していくことはすごく貴重な体験でもあり、小さな障壁が散りばめられた環境でもあり、日本の大学ではなかなか体験できない経験だと思います。

:日常生活では、在学生の9割以上が大学寮に住んでいることもあり、大学が生活の中心になる点が、日本の大学との違いだと感じました。同じ屋根の下でご飯を食べ、勉強し、寝ることで、遊び仲間だけでなく、本当に価値観や夢について語りあえる存在に出会うことができる幸せを実感しました。また、勉強と遊びのバランスをうまくとることのできる学生が多く、高校で勉強や課外活動ばかりに注力していた身としては、大学を通して得られる価値は、使える時間に比例しないことを教えられました。

 

Q. 日本の高校生が入学までに準備すべきことは?

田中:学業面では、やはり英語で勉強することに抵抗感をなくすことだと思います。とりわけアメリカの大学の場合、多くの大学では8割以上の学生がアメリカで育った学生であり、留学生の中でも中等教育(中学・高校)を英語で履修する人が多い中、日本語からいきなり英語で勉強せざるを得ない環境に対応することは難しかったです。英語力を鍛えるだけではなく、自身の興味ある分野や教科の英語の記事や教科書を読むことで、大学進学後の勉強にスムーズに移行できると思います

生活面では、自戒の意味も込めて、食生活のバランスを自己管理できるようになることが一番大事です。学食や周囲で簡単に手に入る食料はどうしても栄養バランスが偏りやすく、日本で下宿する場合以上に食生活が偏ってしまうことが多いです。そこで、高校生の間から少しずつ自分で調理したり、簡単に作れるもののレパートリーを増やしておくことをお勧めします。

:受験生期間中は、それまで培った価値観が前提になっていて、自分の軸を固めてアピールする場合が多いですが、入学までには自分の可能性や好き嫌いへの固定概念を一旦破ってみることをお勧めします。失敗を時間の無駄だと考えてしまい、自分が得意なことしか取り組まない人がいます。私もその一人でしたが、大学ではプライドや社会的な縛りを捨てて、存分に未知な世界に飛び込んでほしいと思います。

 

Q. 海外学生生活の難しいところと楽しいところは?

田中先述の通り、すごく多様な人と隣り合わせで生活していく中で、自分の「当たり前」が全く通じない場面に直面することがあります。夜中にギターの音が聞こえてきたり、得体の知れない物が共用キッチンに置かれていたりといった小さなことが気になり、トラブルの火種になってしまうことも多々あります。また、日本に比べ「空気を読む」ことがあまり気にされず、ギクシャクすることもありますが、それらも全て含めて勉強になり、興味深い生活の一部でした。

留学先の地域的な要素もありますがこちらに来てニューヨークが凄く好きになりました。世界の中心地とも言われ、文化や芸術に触れる機会がこの上なく充実している街に、勉強の合間を縫って、様々な場所を探索しました

:難しいと感じたのは留学生へのサポートが手厚く、チャンスが多く見いだせる中で、どれに手を伸ばせばいいかわからない、というところですね。前からやってみたかったこと、自分がやるべきだと思うこと、逆に明確なメリットはないけどやってみたいこと、などさまざまな要素がある中、四年間という限られた時間で何を達成したいかを考え、取捨選択を行う能力が非常に問われると思います。

楽しいこととしては、日々の展開が常に予想できないことです。急遽ダウンタウンで繰り広げられるデモに参加することになったり、食堂に見たこともない料理がでてきたり、深夜に図書館にパジャマで行ったら友達にあって長時間雑談してしまったり、キャンパスにビヨンセがきたり……と、ワクワクするような毎日を過ごせます。

 

Q. 課外活動の状況を教えてください

田中:コロンビア大学のみならず、多くのアメリカの大学ではかなり課外活動も活発に行われています。コロンビアはあまりスポーツが強くなく、関心のある学生は多くありませんが、他の大学では大学チームのアメフトやバスケなどは多くの学生が応援、観戦しに行くらしいです。(笑)

僕自身は研究室の門戸を叩き、リサーチアシスタントの形で自分の興味のある分野の研究を大学院生や教授に師事して行ったり、ニューヨークにいる間は近隣の比較的貧困地域とされていた幼稚園や小学校で先生の補佐をしたり、放課後に音楽(バイオリンやピアノ)の指導のボランティアを行ったりしていました。

:基本的に全員、なにかしらのクラブに入っているイメージがあります。スポーツやボランティアだけでなく、アイデンティティーに関するものや、学生主体で立ち上げた非公認の同好会もあります。私自身は大学内のメディアにエディターとして勤めたり、ダンスのグループに入ったり、ウガンダなどで井戸を作る工学部生向けのプロジェクトに関わっていました。

 


田中祐太朗
コロンビア大学(米国・ニューヨーク州)理工学部2年。私立・西大和学園高等学校の卒業生。主専攻で応用数学を、副専攻として哲学を学ぶ。医学とデータサイエンスを横断する研究を行うほか、幼稚園と小学校でボランティアにも従事する。同じコロンビア大生の李さんと日本の高校生の海外大学進学を支援する無償オンラインプログラム「atelier basi」を立ち上げ、運営している。



李卓衍
コロンビア大学理工学部2年。医療工学を専攻する予定で、副専攻には美術史を検討している。山口県にある中高一貫校在校時は、九州大学で材料工学に関する研究を行っていた。現在は合成生物学の研究室に所属するほか、大学のツアーガイドや大学内メディアの作成に関わる。

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