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2021.8.27

探究心と国際教養そして未来を切り開く本気——3つの新コース
滝川第二中学校(兵庫県 共学校)

野村啓太先生(左) 金子幸平先生(右)

2004年の中学校開校以来、スペシャルウェンズデーなどの革新的な取り組みで、私学教育の可能性を広げてきた滝川第二中学校。今春、新たな時代のニーズに応えるべく、3つのコースを新たに開設した。新コースの設計を主導した中学主任・金子幸平先生と中高一貫高校主任・野村啓太先生にお話を聞いた。

 

AI時代の学びに応じた3つのコース

「近年よく言われているように、AIの進歩によって、20年後には今ある仕事の半分ぐらいがなくなっています。20年後というのは、生徒たちは30代で、ちょうど社会の第一線で働いている頃です。この未来予測から逆算して、中高で身につける力は何かを考えました。」

新コース制を導入した背景について尋ねると、金子先生はこのように話を始めた。

「たどり着いた答えは『AIにできないこと』でした。特に重要なのは、ゼロからものを作り出す力と、相手の気持ちを読み取りながらコミュニケーションをする力の2つです。」

AIはすでに、膨大な事例から学習し、パターンに分類するような作業では人間を上回っている。既存の知識を覚えるだけという学び方は、いずれ意味を失うだろう。対照的に、まだ世にないものを考え出すことや人間にしかわからない人間の気持ちを理解することは重みを増していく。この点を念頭に、新設された3のコースを順に見ていこう。

まずは「プログレッシブ数理探究コース」。数理的な知識、論理的な思考力や探究心を備えた新時代を生き抜く人材を育成するコースだ。

「従来のプログレで培ってきたノウハウを使い、それをより進化させたコースです。週2時間の探究型授業では、数理的な柔軟な思考力や実験の勘どころとなる技術などを、論理ゲームやカルメ焼作りといった取り組みを通じて、楽しみながら深めていきます。」

カルメ焼きの火加減は化学実験の基礎に通じる

次に「I.U.E.知識実践コース」。I.U.E.は「International Understanding Education(国際理解教育)」の略だ。

「保護者からの問い合わせの多い英語教育について、本校の答えを結集しました。国と国との壁がなくなる時代に『英語ができる』のはもはや当たり前で、それだけでは通用しません。相手の文化的・宗教的背景を理解して、自分と異なる考え方をする人に対して、一方的でない意思疎通をする力が求められます。週2回の『英語探究』での国際理解教育とオンライン英会話、2ヶ月半のカナダ留学などを通して、国際人として必要な語学力と異文化理解力を身につけます。」

オンライン英会話で生きた英語に触れる

最後に、新コース制度で打ち出した新機軸とも言える「エキスパート未来創造コース」。ある分野で意欲的に取り組む生徒や、深みのある人間性を身につけたいという生徒のための、新しいニーズに応えるコースとなっている。

「塾の先生方からの提案を参考にして開発したコースです。小学校で、ピアノや将棋、サッカーなど、受験勉強以外でも頑張っている子どもがいます。自分の好きなことに本気で取り組んできた子どもたちが、大学を目指す学力を身につけながら、好きなことにも打ち込めるコースとしました。まだ将来の目標が見つかっていないという生徒も、本気で努力するクラスメートから良い刺激を受け、自分の特技や長所を見つける環境となっています。」

 

感動体験で大きく育てる

3つの新コースは、いずれもこれからの時代に求められる教育を実現するものだが、特筆すべきは、それぞれ、プログレッシブ数理探究(35名)、I.U.E.知識実践(30名)、エキスパート未来創造(40名)という少人数コースという点にある。どのコースも目指す学習者像が明確で、学校挙げて改革に向かう同校の本気度が伺える。

「本校は開校以来『教育は感動である』という理念を貫いてきました。大きな行事の例としては、屋久島トレッキングとその準備となる六甲全山縦走への挑戦がありますが、日々の小さな達成感も大切にしています。英語と数学の小テストでは、すべての生徒ができるようになるまで取り組みます。わからなかったことがわかる・できるのも感動体験です。本校は、リニアモーターカーのように目的地に早く着くことだけを目指す、大学受験のためだけの私学ではありません。できるだけ途中の景色を眺め、泣いたり笑ったりしながら、6年間でたくさんの経験をしてもらいたいと考えています。」

最後にこれからの時代の学び方についてアドバイスをいただいた。

「これからの時代、すべてのものが新しく、初見のものに対峙することが多くなります。我々にも言えるのですが、子どもと一緒になって、失敗を恐れずに新しいものにチャレンジして、探究していく姿勢が大切になります。お子さんの感性や自由な発想を認めて共感し、成長のチャンスとして拾い上げてください。」

 

進学館

 

滝川第二中学校
https://takigawa2.ed.jp/
神戸市西区春日台6-23 TEL 078-961-2381

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